フジテレビの長時間にわたる記者会見が注目を集めています。報道によると、元SMAPの中居正広氏がフジテレビの社員に対し密室で何らかの問題を起こしたとされる事件に関するもので、フジテレビの経営陣は約10時間にもわたる会見を開きました。この長時間の会見が象徴するように、事件の詳細や経緯について、社会の関心が集中しています。
しかし、この問題が本当に国民全体が注目すべき「最重要課題」なのでしょうか。今回の事件は一個人と企業内部の問題に過ぎず、国全体を巻き込むような深刻な影響を与えるものではありません。それにもかかわらず、報道の多くはこの話題に費やされ、他に取り上げるべき重要な問題が埋もれてしまっている現状があります。
その一例として挙げたいのが、先日国会で可決された「中国人向け10年ビザ発給法案」です。この法案は、中国人への10年間有効な長期滞在ビザを発給するという内容ですが、その制度設計にはいくつかの懸念点があります。この問題について、メディアでの報道はほとんど見られず、国民の間で十分な議論が行われていない現状は非常に憂慮すべきものです。
まず問題点として挙げられるのは、ビザ発給における「滞在条件の緩さ」です。10年間有効なビザが発給された場合、外国人は日本国内で滞在することが可能ですが、半年以上滞在しなければ日本での納税義務が発生しません。つまり、日本の治安やインフラなど、私たちの生活を支える基盤に対して外国人が間接的な恩恵を受ける一方、税金の支払い義務を負わない可能性が高いのです。
日本のインフラや治安を支えているのは、言うまでもなく日本国民の納税です。道路や鉄道、水道などの整備、公的医療や教育、さらには警察や消防などの治安維持も、私たちの税金によって成り立っています。しかし、このビザ発給制度の下では、日本国内で生活し、これらの公共サービスを利用する外国人に対して納税義務が課されない仕組みになってしまう可能性があります。これは、日本の納税者が負担するコストを増加させる結果につながるでしょう。
さらに、このような制度が日本社会全体に与える影響も考慮する必要があります。多くの外国人が納税義務を免れつつ日本国内で公共サービスを利用することで、社会保障費や公共インフラの維持にかかる費用の負担が日本国民に偏る可能性があります。このような制度が長期的に続けば、国民の間で不公平感が広がり、社会的な分断を生む要因にもなりかねません。
一方で、この制度が「観光振興」や「外国人による投資の促進」を目的としているという側面もあるでしょう。しかし、10年間という長期にわたるビザ発給は観光の枠を超えた問題をはらんでおり、経済的なメリットが懸念を上回るとは言い切れません。日本の経済的利益を守りつつ、外国人労働者や観光客を適切に受け入れるためには、より慎重な制度設計と議論が必要です。
今回のフジテレビの記者会見に世間の注目が集まる中、このような国の重要な課題が軽視されている現状は、メディアや社会全体の関心のバランスが偏っていることを示しています。一個人のスキャンダルや特定の企業内部の問題は、もちろん報じられるべきですが、それが国民全体の重要な課題を覆い隠してしまうことは避けなければなりません。
私たちが本当に向き合うべきは、国の制度や未来に関わる課題です。中国人への10年ビザ発給という新たな制度が、どのような影響を日本社会に与えるのか、もっと多くの国民が考え、議論を深めるべきではないでしょうか。日本の未来を形作るこれらの問題こそ、今こそ私たちが注目すべきテーマなのです。
社会の関心を向ける方向が、真に重要な課題へとシフトすることを願います。そして、メディアにはその役割を果たすべく、公正でバランスの取れた報道を期待したいところです。